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ルーシー・リー展にみる用の美

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約4分
先日、静岡市美術館に巡回していたルーシー・リー展の最終日にすべりこみセーフ。

なんとか鑑賞することできました。

 

アートカルチャー系の雑誌の表紙を飾ることも多く、陶芸が好きな人も、そうでない人でも写真の特徴的なピンク色系の

器を一度は見たことがあるのではないでしょうか。

 

ルーシー・リーは第二次世界大戦、戦前・戦中・戦後と活躍したオーストリア、ウィーン生まれの女流陶芸家。

戦時、ナチス軍の進駐から逃れるようにイギリスにわたり、日本の民藝運動にも多大な影響を与えたバーナード・リーチ

と交流を持ち、鋭い批評・指導を受けながらも自身の作風を確立してきました。

 

今回の展示は、そのスタイルが形成されていく過程でつくられた様々な様式の変遷と、94歳という短くない生涯を

終えるまで意欲的につくり続けられてきた200点の作品でその魅力を紹介。とても見応えのある展示でした。

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用の美とは、文字通り用途を持った芸術(美術)のこと。

陶芸や染織、木工、彫金等に代表される工芸品と呼ばれるものが該当します。

いわば、人々の生活に寄り添った暮らしの道具に美を見出しているということです。

とはいえ、美術館や一部のアートコレクターの所蔵品のように高価な工芸品には、縁がないように思え、

なかなか身近に感じることがないかもしれません。

 

今回の展示では、ルーシー・リーの戦時中の生活のために工房で大量制作されたガラスや陶でできたボタン

が数多く披露されていました。

いかにも高価そうな鉢や花瓶に自分の生活との重なりを見出せなくても、実際に使われていた洋服のボタン

とは距離が近く親しみを覚えます。

 

ボタンといっても多くが、ほぼ直径5cmほどの大ぶりなもの。

ブローチや箸置きにしてもいいくらいの温かみを感じる素敵なデザインに目が釘付けです。

実際に世界的なファッションデザイナーISSEY MIYAKEのコレクションでも使われたことがあるそう。

色も形も様々なボタンが整然と並べられているケースを鑑賞するのは、宝石箱の中をのぞきこんでいるような気分でした。

 

このボタン作りの時代に培った釉薬使いの妙がその後の制作で花開くことになります。

 

冒頭で触れたルーシー・リー様式といわれるスタイルを確立した要素の一つに、特徴的な発色の綺麗なピンク、ブルー系の

釉薬使いがあげられます。

 

一般的に、陶芸は一度素焼きをしてから釉薬をかけ、焼成しますが、ルーシーは素焼きをせず、素地に直に釉掛けをした

そうです。ゆえにこの色は、これまでに無かった唯一無二のルーシー・リー様式ということになります。

 

 

 

また、碗や鉢にみられる高台(底の部分)は細長く、口縁は水平にこだわらず自然でのびやかなラインを描いています。

さらに、ろくろを挽いた後、乾燥前にフリーハンドで施す掻き落とし、スパイラル(練り込み)、象嵌(掻いた箇所に異なる

色土を嵌め入れる)、それぞれに形成した二種の形の組み合わせ技法など独自のスタイル変遷を展望することができました。

 

碗は開口部が広く広がり、高台が細長いせいか、ひっくり返すとそのままランプシェードとしても使えそうだな~

などと思いながらの鑑賞でした。

 

工房作といってもひとつひとつ手づくりされた温かみのあるアートワークス。

一人の女性がこだわった色褪せぬ魅力が後世の人々を惹きつけてやまない理由を目の当りにできました。

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暮らしの中から生まれ、溶け込むアート。

 

手に入れやすい民芸品などから日常に取り入れてみてもいいですね。

 

 

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本社・企画広報

山田 祐子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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